ハツシモはどんな味?あっさり大粒のお米と、好みが分かれるポイント

「ハツシモって、どんな味なんだろう」。岐阜県以外ではあまり見かけないお米なので、そう思う方は多いと思います。
お米の福利厚生「コメフク」を運営する、丸恵商会の花村です。岐阜県羽島市で、そのハツシモを育てています。
先に味の特徴をお伝えします。ハツシモは、粒が大きく、粘りは控えめで、噛みごたえのあるお米です。もちもちした食感を求める方には好みが分かれますが、おかずと合わせる食べ方では力を発揮します。
この記事では、味の特徴と、好みが分かれるポイント、そしておいしく食べるための炊き方を、育てている側から説明します。
ハツシモの味で、好みが分かれる3つのポイント
ハツシモの感想を見ていくと、評価が分かれるポイントはほぼ次の3つです。どれも味の良し悪しではなく、期待していた食感との差から来るものです。

1. 粘りが控えめで、あっさりしている
岐阜県の公式ページでも、ハツシモの食味は「あっさりとし、大粒で噛みごたえがあり、寿司米としても好評」と説明されています。
コシヒカリのような、炊きたてのもちもち感・甘い粘りを期待して食べると、「物足りない」と感じます。これは品質の問題ではなく、性格の違いです。
2. 粒が大きく、食感がしっかりしている
ハツシモは全国のお米の中でも粒が大きい品種です。噛みごたえがあるぶん、やわらかいご飯が好きな方には「硬い」と感じられます。
お子さんやご高齢の方の食事に、やわらかさを求めている場合は、他の品種のほうが合います。
3. 炊き方で食感が変わる
ここが一番大きいところです。粒が大きく吸水に時間がかかるお米を、いつもと同じ浸水時間・同じ水加減で炊くと、芯が残ったように感じます。
逆に、浸水を長めにとるだけで印象が変わります。後半で炊き方のコツをまとめます。
食味ランキングでは最上位の「特A」を獲得している
評価の話も、公的な情報で確認できます。岐阜県の公式ページによると、日本穀物検定協会の平成28年産米の食味ランキングで、美濃ハツシモは約20年ぶりに最上位の「特A」を獲得しています。
食味ランキングは専門のパネルが評価するものです。あっさりした味わいのお米でも、最上位の評価を受けられることを示しています。
岐阜県内では作付面積が一番多い品種で、他の県ではほとんど生産されていません。県外の方が食べる機会が少ないぶん、情報も口コミに偏りやすいのだと感じています。
「昔食べたハツシモと違う」と感じる方へ
もう一つ、味の記憶に関わる話があります。
岐阜県の公式ページによると、ハツシモは昭和25年に岐阜県の奨励品種になった品種です。そして平成22年から、病気に強く栽培しやすい「ハツシモ岐阜SL」に切り替わっています。
ハツシモ岐阜SLは、従来のハツシモと同一の産地品種銘柄として扱われています。つまり今スーパーに並んでいる「ハツシモ」は、その多くがこちらです。県の説明では、この切り替えによって品質も安定したとされています。
粒の性質そのものは変わりません。農林水産省の品種特性資料では、ハツシモの粒の形は「長形で大粒」、千粒重(お米1,000粒の重さ)は25.2gと記載されています。大粒であることは、数字でも裏付けられています。
なぜ岐阜県でしか作られていないのか
「他県で作られていないのは、品質が劣るからではないか」と考える方もいます。理由は別のところにあります。
岐阜県の公式ページでは、ハツシモは昭和25年に奨励品種になって以降、岐阜県美濃平坦部の気候風土に適した品種として栽培が拡大した、と説明されています。つまり、この土地の条件に合わせて広まった品種です。
収穫のピークが10月中旬という遅さも関係します。稲刈りが遅い品種は、その時期まで田んぼを使える土地、その気候に合う土地でなければ作りにくくなります。全国向けの品種にはなりにくい性格です。
結果として、岐阜県内では作付面積が一番多い品種でありながら、県外にはほとんど出回らない。「幻の米」と呼ばれる理由はここにあります。
コシヒカリと比べると、違いがはっきりする
好みが分かれる理由を、よく食べられている品種と並べて整理します。
| ハツシモ | コシヒカリなどの粘りが強い品種 | |
|---|---|---|
| 粒の大きさ | 大粒 | 標準的 |
| 粘り | 控えめ | 強い |
| 食感 | 噛みごたえがある | やわらかく、もちもち |
| 炊きたての印象 | あっさり | 甘みと粘りを強く感じる |
| 冷めたとき | べたつきにくい | やわらかさが残る |
| 向く食べ方 | 寿司、丼、弁当、カレー | 白いご飯そのまま、おかゆ |
表のとおり、どちらが上ということではありません。「炊きたての白いご飯を、ご飯だけで味わいたい」なら粘りの強い品種。「おかずと一緒に食べる」「冷めてから食べる」ならハツシモ、という選び方になります。
品種としての基本情報はハツシモとは?岐阜だけの幻の米で詳しくまとめています。
ハツシモをおいしく炊く4つのコツ
粒の大きいお米の扱い方に変えるだけで、印象が変わります。
粒が大きいぶん、中心まで水が入るのに時間がかかります。夏は30分以上、冬は1時間以上を目安に、いつもより長めに浸してから炊きます
硬いと感じたときに、次から少しずつ増やす。先に増やしすぎると、ハツシモらしい粒感がなくなります
すぐに開けず、蒸らしてからほぐす。粒が大きいお米は、この時間で食感が落ち着きます
しゃもじで練らず、上下を返すように。粘りが控えめなお米なので、つぶさないほうが持ち味が出ます
新米の時期は、収穫直後で水分が多いぶん、水加減の考え方が変わります。詳しくは新米の水加減で説明しています。
買ったあとの保存でも味は変わります。常温で置いたままだと、硬さや古さが目立ちやすくなります。お米の保存方法もあわせてご覧ください。
それでも合わないと感じたときの食べ方
炊き方を変えても好みに合わないときは、無理に白いご飯で食べ続ける必要はありません。
- 炊き込みご飯にする。味が入っても粒が崩れにくいので、輪郭のあるご飯に仕上がります
- 翌日のおにぎりや焼きおにぎりに回す。冷めてもべたつかない持ち味が活きます
- 粘りの強い品種と混ぜて炊く。食感の中間を作れます
お米は最後まで食べきるものです。品種の性格に合わせて使い道を変えるのが、いちばん無駄がありません。
ハツシモが得意な料理、苦手な料理
持ち味は「粒が崩れず、べたつかない」ことです。そこから得意・苦手がはっきり分かれます。
| 得意な料理 | 理由 |
|---|---|
| 寿司・酢飯 | 酢を吸わせても粒が潰れにくい。東海・関西で寿司米として使われてきた |
| 弁当・おにぎり | 冷めてもべたつかず、粒の食感が残る |
| 丼もの・カレー | 汁気に負けず、ご飯の輪郭が残る |
| 炒めご飯 | 水分が少なめでパラッと仕上がる |
逆に、おかゆ、リゾット、やわらかめに炊いたご飯には向きません。粒を崩して食べる料理は、粘りの強い品種のほうがおいしく仕上がります。
ハツシモが合う人・合わない人
| 合う人 | 合わない人 |
|---|---|
| ご飯とおかずを一緒に食べることが多い | 炊きたての白いご飯を、ご飯だけで味わいたい |
| お弁当やおにぎりをよく作る | やわらかいご飯が好き |
| 硬めのご飯が好き | もちもちした粘りを求めている |
| カレーや丼をよく食べる | おかゆをよく作る |
私たちは、もちもちのお米が好きだという方には、正直に「ハツシモは向かないと思います」とお伝えしています。合わないお米を勧めても、誰も得をしません。
買うときに見ておきたい3つのポイント
同じハツシモでも、状態によって食べたときの印象は変わります。とくにあっさりしたお米は、鮮度が落ちると硬さのほうが先に目立ちます。
| 見るところ | なぜ見るのか |
|---|---|
| 精米日 | 精米してからの時間が経つほど、風味は落ちていく。袋の表示で確認できる |
| 産年 | 収穫ピークは10月中旬のため、秋に出回る新米は前年産と混在しやすい |
| 売り場の置き場所 | 直射日光が当たる場所、暖かい場所に積まれているものは避ける |
私たちが精米したてを出荷しているのも、同じ理由です。ハツシモは味が派手なお米ではないぶん、鮮度の差がそのまま味の印象に出ます。
県外の方が通販で買う場合は、精米日を指定できるか、注文を受けてから精米するかを確認しておくと安心です。
ハツシモはどこで買えるのか
岐阜県内のスーパーや直売所では普通に並んでいますが、県外ではほとんど見かけません。岐阜県内で作付面積が一番多い品種でありながら、他の県ではほとんど生産されていないためです。
県外の方が手に入れる方法は、農家や米屋の直売・通販が中心になります。価格は年や販売先によって変わるため、気になる場合は購入先に直接確認するのが確実です。生産量が限られる品種のため、年によっては早い時期に売り切れることもあります。
私たちは岐阜県羽島市で、木曽川の水を使ってハツシモを育てています。収穫のピークは10月中旬。刈り取ったお米は低温倉庫で温度を管理し、精米したてを出荷しています。
お米そのものについてはお米紹介のページ、育てている私たちについては米農家紹介のページをご覧ください。
会社の福利厚生としてハツシモを社員に届ける「コメフク」という仕組みもご用意しています。経営者の方はこちらもご検討ください。
ハツシモについてよくある質問
まとめ:大事なのは「合う食べ方」を知ること
この記事の要点を整理します。
- 好みが分かれるポイントは、粘りが控えめ・粒が大きい・炊き方で食感が変わるの3つ
- 食味ランキングでは、美濃ハツシモが平成28年産で最上位の「特A」を獲得している
- おかずと一緒に、冷めてから食べる用途では強い。おかゆやリゾットには向かない
- 硬いと感じたら、水を増やす前に浸水時間を長くする
育てている側として言えるのは、ハツシモは万人向けのお米ではないということです。ただ、合う食べ方が見つかれば、長く付き合えるお米です。
お米のこと、お米の福利厚生コメフクのことは、いつでもご相談ください。
